胃がんをどう防ぐ?
健康診断でセットになっているバリウム検査。胃がんの早期発見のためには受けたほうがいいのかなと相談されることがあるのですが、はっきり言って無意味です。歴史的にはバリウムと空気を用いた二重造影法と言う診断技術がアートとして確立しているのですが、そのレベルの画像診断を集団検診で行う事は不可能だと思います。もちろん進行した胃がんがあればそこそこ見えてくるわけですが、受診者が期待しているのは早期癌の発見ですからその意味では普通の集団検診で行われているバリウム検査は全く無意味と言っていいでしょう。

早期発見できる検査は内視鏡しかない
現在では胃がんの早期発見は事実上は内視鏡検査しかないと言って差し支えないと思います。現実に胃がんを防ぐには定期的な内視鏡検査が必要とおっしゃる先生も増えてきていますが、ここで注意しないといけないのは胃がん予防と胃がんの早期発見は微妙に意味が異なると言うことです。
胃がんが既にあるとわかっているのが前提であれば早期発見の方法は内視鏡しかありません。しかし多くの場合、自分の身体に胃がんが発生しているかどうかを知りたいことが多いのではないでしょうか?胃がんがあるかないかわからないのに毎年内視鏡受けると言うのは、間違ってはいないかもしれませんがあまりにも単純すぎる考えだと思います。私は体の負担や時間のロスを考えてもう少し賢く予防する方法を提案しています。それは血中のピロリ菌抗体を測定しようというものです。
ピロリ菌の感染歴がなければ内視鏡も不要
近年の研究成果で胃がんの原因がピロリ菌であることは判明しています。ピロリ菌に関しては血中の抗体を測定することで感染歴を確認することができます。血中のピロリ菌抗体が陰性であれば感染歴なしと判断できるわけですがピロリ菌の感染歴がなければこれまで胃がんの原因がなかったわけですから、内視鏡で確認できるレベルの胃癌が存在する可能性は極めて低いと考えられます。
もちろん抗体測定の検査にもタイムラグや感度の問題はあるのですが、内視鏡検査を含めすべての癌を100%検出できる検査方法などないわけですし、内視鏡検査には内視鏡検査に固有のリスクもあるわけでその辺はトレードオフと考えましょうということです。また、胃には胃がん以外にも様々な病気が発生する可能性はあるので、癌だけではなくいろいろな病変を発見したいということであれば内視鏡をおすすめしています。

















ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません