胃がん予防。ピロリ除菌成功すれば安心?

02/27/2025

ピロリ菌が胃がんの主な原因であることは先日述べたようによく知られています。人間ドックでピロリ菌感染が見つかった場合内科医を受診して抗生物質を使った治療をおすすめすることになります。除菌はうまく薬が効いて成功することもあれば失敗することもあるのですが、とりあえず除菌成功すれば安心とおもってる人が多いのではないでしょうか?

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除菌しても癌細胞が消えるわけではない

除菌する事は医学的には大切なのですが、個人のがん予防と言う観点から見れば残念ながら除菌しているので大丈夫とは言えないのです。胃がんのできる仕組みを考えてみれば当たり前なので順に見ていきましょう。ピロリ菌に感染した胃粘膜は何度も炎症を繰り返します。炎症では治癒過程で破壊された胃粘膜の修復がおこるのですが、何度も修復を繰り返しているうちに確率的に修復失敗が起こり一部の細胞が癌化します。癌化した細胞は初期であればほとんどが免疫により破壊されるのですが、免疫の攻撃をすり抜けてある程度大きくなったがん細胞の塊は免疫の攻撃をかわす機能を備え無制限に増殖を始めます。こうなってくると自然治癒力ではどうすることもできずやがて内視鏡で見える位の早期癌に育つと言うわけです。がんの発生から内視鏡で検知できる大きさに育つまでは概ね10年から20年以上の歳月が必要とされています。抗生物質でピロリ菌を除菌しても癌細胞まで消えるわけではないので、その時にすでに発癌していればいつかは内視鏡で発見できる大きさに育ってくる可能性があるというわけです。

除菌後も定期的な内視鏡検査がおすすめ

ピロリ菌の除菌は今後の胃がんの発生を抑えると言う意味では有効です。しかし除菌の1番大切な意味は、周りの人にピロリ菌の感染をばらまかないことだと思います。内視鏡で胃がんが見つかる前に除菌成功したから胃がんになる心配はないと思っている人が多いようですが、実はそうではないのです。過去にピロリ菌に感染したことのある人はたとえ除菌に成功したとしても安心せずに定期的に内視鏡検査を受けるようにしましょう。