最新のエビデンスほどあてにならないものはない その1

03/27/2025

コロナウィルスがらみで「科学的な根拠に基づいた治療法を…. 」などと言う記述を見掛けることが 多くなりました。 この科学的な根拠なのですが いろいろなレベルがあるので注意が必要です。一般論としては最新の研究結果による報告ほどあてにならないものはありません。

データは発表されればエビデンスとして扱われるが

そもそも科学的な根拠(エビデンス)とは 研究者が実験や解析を行いその結果を学会発表や論文と言う形で 公にした結果の事なのですが、流れとしては 最初にどこかの学会で発表され、 学会で得られたコメントなどをもとに 検証しながら 追加の解析などを行い 関連するデータを別の学会で発表したりして検証を続け最終的に 間違いなさそうなデータ のみを論文化します。 ふつう、論文になった段階で 残ってるエビデンスの数は半数以下になっています。 論文化されたデータは 他施設で同じような 研究をしているグループにより検証され 再現性があり有用性の認められたデータが 時間を得て認証されるのですがその過程においてまた新たな知見があれば淘汰されるデータも出てきます。 このように検証の過程を経て最終的に長い年月をかけて残ったデータがいわゆる確立されたエビデンスと言うことになります。

新しいエビデンスは検証を経ていない

マスコミが最新の報告とか最新のエビデンス等と大騒ぎしてるのですが最新のデータは検証の過程を得ていないのでほとんどが時間の経過とともに淘汰されてしまいます。 コロナウィルスのような新たな病変に対しては 情報を早く広めること自体に価値があるために論文化が優先されて検証を受ける前のデータも有名な科学雑誌に掲載されてしまっています。そもそも新たな病変に確立されたエビデンスなどあるはずがないので有名な科学雑誌に掲載されていても慎重に吟味しなければいけません。

新しいエビデンスは鵜呑みにしてはいけない

テレビに出ている専門家と称される人々が「コロナウィルスは空気感染しない」だとか、 「アビガンを使えば治療できる」最近では「ワクチンを打てば重症化は防げる」などと いかにも知ったかぶりをしてしゃべっているのをよく見掛けますが 有名な論文に書いてあるからと鵜呑みにするのではなくデータの意味を注意して考えないといけません。 たとえ有名な大学の先生がどこかの立派な学会で発表したとしても新たなエビデンスは検証の過程を得ていないのですから。