アミロイドPET検査とは?認知症診断の新たな可能性

認知症の診断において注目されるアミロイドPET検査とはどのようなものなのでしょうか?本記事では、アミロイドPET検査の概要、検査の流れ、メリット・デメリット、保険適用の条件に加え、検査結果の意味について解説します。


アミロイドPET検査とは? 

アミロイドPET(Positron Emission Tomography)検査は、アルツハイマー病の原因とされる脳内のアミロイドβタンパクの蓄積を可視化する検査です。従来のMRIやCTでは捉えきれなかった脳の変化を、分子レベルで確認できるため、アルツハイマー病の診断精度向上に貢献しています。

なぜアミロイドβが重要なのか?

アルツハイマー病の患者の脳内には、アミロイドβが異常に蓄積していることが知られています。アミロイドPET検査では、このアミロイドβの蓄積の有無を画像で確認することができ、早期診断や他の認知症との鑑別に役立ちます。


アミロイドPET検査の流れ

  1. 診察・問診

  医師と相談し、アミロイドPET検査が必要かどうか判断します。

  1. 放射性薬剤の投与

 アミロイドβに結合する特殊な放射性薬剤を静脈注射します。

 一定時間待機し、薬剤が脳に行き渡るのを待ちます(約30〜90分)。

  1. PET撮影

 PETカメラで脳の画像を撮影(約20〜30分)。

 撮影中はリラックスして横になっているだけでOK。

  1. 結果の解析・診断

 撮影された画像を専門医が解析し、アミロイドβの蓄積の有無を評価。

 数日後に診断結果を受け取ります。


アミロイドPET検査の結果とその意味

アミロイドPET検査の結果は、「陽性」または「陰性」と判定されます。
それぞれの結果が何を意味するのかを理解することが重要です。

アミロイドPET陽性の場合
(脳にアミロイドβの蓄積がある)

  • アルツハイマー病の可能性が高い
    • 認知機能の低下がある場合、アルツハイマー病と診断される可能性が高まります。
  • 将来的に認知症を発症するリスクがある
    • 無症状でもアミロイドβが蓄積している場合、将来的にアルツハイマー病を発症するリスクが高いと考えられます。
    • ただし、アミロイドβの蓄積があっても、必ず認知症を発症するとは限らないことに注意が必要です。
  • 抗アミロイドβ抗体薬の適応となる可能性がある
    • 一部の新しいアルツハイマー病治療薬(例:レカネマブ)は、アミロイドβの蓄積が確認された患者にのみ適応されます。

アミロイドPET陰性の場合
(脳にアミロイドβの蓄積がない)

  • アルツハイマー病の可能性は低い
    • 認知機能の低下があっても、アルツハイマー病ではない可能性が高いです。
  • 他の認知症の可能性を検討する必要がある
    • レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、血管性認知症など、アルツハイマー病以外の認知症の可能性を考慮する必要があります。
  • 将来的にアルツハイマー病を発症するリスクは低い
    • 健常者がアミロイドPET陰性だった場合、将来的にアルツハイマー病を発症するリスクは低いと考えられます。

このように、アミロイドPET検査はアルツハイマー病の診断補助に役立ちますが、単独では確定診断とはならず、他の検査と組み合わせて総合的に判断する必要があります。


アミロイドPET検査の保険適用について

2023年から、日本では一部のアルツハイマー病治療薬(抗アミロイドβ抗体薬)の適応を判断する目的に限り、アミロイドPET検査が保険適用となりました。これは、アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβに作用する新薬が登場し、その治療対象を正しく選定する必要があるためです。

保険適用の条件

以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
医師が抗アミロイドβ抗体薬(例:レカネマブ)の適応を検討する場合
患者が軽度認知障害(MCI)または軽度アルツハイマー病と診断されている場合
その他の診断方法(MRI、認知機能検査など)を行った上で、追加の検査が必要と判断された場合

このように、診断目的だけでアミロイドPET検査を受ける場合は、原則として保険適用外となるため注意が必要です。


まとめ

アミロイドPET検査は、アルツハイマー病の早期診断や確定診断の精度向上に役立つ最先端の検査です。検査結果は「陽性=アルツハイマー病の可能性が高い」「陰性=アルツハイマー病ではない可能性が高い」と判断されますが、最終的な診断には他の検査結果も含めた総合的な評価が必要です。また、保険適用は抗アミロイドβ抗体薬の適応判断に限られるため、一般的な診断目的での検査は自費負担となります。
認知症が気になる方は、まず専門医に相談し、自分にとって最適な検査を選びましょう。