自律神経を整えるとは
自律神経とは生物が生物として生きていくための基本的な機能をコントロールしている神経系です。機能生命維持に直結しているため自分の意思で動かすことはできませんが、その状態を整える事は健康維持のためには極めて大切なことだと考えられます。ところがウェブなどで自律神経機能について調べてみるとメンタルの不調だとかサプリだとかリラックスがうんぬんとか、皆さん表面的な説明で商売に直結するような情報ばかりで嫌になります。血圧と血管の調整を例にとって自律神経の機能について理論的に考えてみましょう。
人体はなぜ血管をコントロールする必要があるのか
血管の壁は主に筋肉でできておりその筋肉は自律神経の作用により収縮したり弛緩したりしています。安定状態では血管壁の筋肉は軽く収縮していますが、緊張状態になり交感神経が刺激されると血中にノルアドレナリンが放出され末梢血管においてはノルアドレナリンに反応して血管収縮が起こります。ベッドに寝ている状態からトイレに立ち上がろうとしたときには、下半身の末梢血管が収縮して脳への血流を維持するわけですからこの反応はかなり素早くコントロールする必要があります。食事の後には消化管にたくさん血流を流す必要がありますし運動している時、寝ている時など様々な状態に応じて適切に素早く血流をコントロールするのが血管収縮に関する自律神経の役割です。したがって自律神経の整った状態と言うのは巷で言われてるようなメンタルがどうしたとか言う状態のことではなく、生命維持装置を必要に応じて速やかに動かす機能と言うことになります。
自律神経機能が低下するとどうなるか
パーキンソン病などの一部の神経変性疾患や糖尿病などは自律神経機能を低下させることが知られています。理論的に考えると自律神経機能が低下すると血管収縮のコントロールが適切に行えなくなります。 具体的にはベッドから起き上がった時に下半身の血管収縮が速やかに行われず 脳への血流が低下する ようなことが起こります。 反対に 運動などで心拍出量が上がったときに 脳への血流をコントロールできず 脳内の 血圧が必要以上に高くなることもあります。 前者は脳梗塞の原因となりますし後者は脳出血やクモ膜下出血の原因となります。 このように理論的に考えれば 自律神経機能が低下すると突然死が増えるのは 不思議でもなんでもありません。
自律神経の評価方法
自律神経を評価するにはいくつかの方法があるのですが、正常か異常かだけではなく、どの程度の機能低下があるのかを知りたい場合には自律神経機能を数値で評価できる検査方法が必要です。代表的なものとしては心拍変動(HRV: Heart Rate Variability)解析があり、心拍間隔(RR間隔)の変動をフーリエ変換し解析することで、自律神経の活動バランスを数字で評価することができます。心臓の交感神経機能は核医学を用いた機能画像検査でも評価することが可能です。

自律神経機能を整えるには
自律神経を整えるにはどうすれば良いかということも理論的に考えてやれば簡単に想像ができます。 自律神経も人間の身体の一部ですから適切に機能させるためには普段から使用し続けることが大切なことぐらいは誰でもわかります。普段から緊張したり運動したりして刺激が入ってる人であれば良いのですが、 歳をとってくると日常に刺激が少なくなり自律神経を使う機会が減ってくるのが機能低下の原因です。したがって自律神経を整えるのに手っ取り早いのは無理矢理にでも自律神経を動かさざるを得ない状態に自分の体をもってゆくことです。 交感神経を刺激するにはスポーツをしたりサウナに入れば 効果的ですし、迷走神経を刺激するには 芸術を鑑賞したり瞑想したりするのが効果的です。巷の情報だとリラックスがやたら強調されていますが、理論的に考えると 迷走神経優位に持っていくことが整えるということではないことがわかります。 出回っているエビデンスはほとんど商売目的なので無視して構いません。理論的に少し考えればあたりまえですが、自律神経がいつでも速やかに反応する体を作るためには交感神経、副交感神経も普段から刺激しておくことが大切ということです。
Hattori, N., Schwaiger, M. Metaiodobenzylguanidine scintigraphy of the heart: what have we learnt clinically?. Eur J Nucl Med 27, 1–6 (2000). https://doi.org/10.1007/s002590050505















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