最新のエビデンスほどあてにならないものはない その3 時間編
医学的エビデンスが無い=「副作用が無い」「効果がない」は誤解
医学や健康に関する話題で、「医学的エビデンスが無い」と聞くことがあります。この言葉を「安全である」「効果がない」と誤解してしまう人も多いですが、これは必ずしも正しくありません。本記事では、この誤解について解説します。
1. 「医学的エビデンスが無い」とは?
「医学的エビデンスが無い」とは、ある治療法や成分について、科学的な研究や臨床試験が十分に行われていない、または確固たる証拠がまだ得られていないことを指します。これは「効果がある」とも「効果がない」とも断定できない状態を意味します。また、新しい治療法や成分に関しては、エビデンスとしてまとまるまでに長い時間がかかることも多く、現時点で証拠が不十分でも将来的に有効性や安全性が証明される可能性もあります。
2. 「副作用が無い」とは限らない
「エビデンスが無い」ということは、安全性が確認されていない可能性もあります。例えば、最新のワクチンが開発された際、短期間で緊急承認されることがありますが、その時点では長期的な副作用についてのデータが不十分な場合があります。これまで「副作用の報告についてのエビデンスがない」と言われていても接種が進む中で新たな副作用が発見されることもあります。過去には、一部のワクチンで数年後に副作用が確認された事例もあるため、新しい医療技術に対して慎重にデータを蓄積していく必要があります。
3. 「効果がない」とも限らない
逆に、「エビデンスが無い」ということは、単に科学的な検証が不十分であるだけで、効果がないと断定できるわけではありません。例えば、癌のスクリーニング検査の中には、現時点では効果がないとされているものの、後の大規模研究によって有効性が証明される可能性があるケースもあります。特定の疾患に対するスクリーニング検査が、発見率を高める一方で、誤診や過剰診断につながるとして一時的に否定されることもありますが、その後の研究の進展により、有用性が認められることもあります。一般に医学的エビデンスは、集団に対しての効果を評価するのですが、個人に対しての効果と集団に対しての効果が必ずしも一致するとは限りません。しかも、こうしたエビデンスが確立されるまでには長い時間がかかるため、エビデンスが確立するのを待ってから採用していたのでは、せっかくの最新技術を有効活用する機会を逃してしまいます。新しい技術は、それが正しい情報なのかどうかを見極めた上で柔軟に導入しつつ活用することが求められます。
4. 正しい情報の見極め方
医学的情報について考える際には、エビデンスの有無にとらわれるのではなく以下の点に注意して自分で考えましょう。
- 専門家の意見にはバイアスがかかることがある:専門家といえども、個々の経験や研究分野、所属機関の方針、政治的、経済的要因などによって意見に偏りが生じることがあります。そのため、異なる視点の意見も参考にし、総合的に判断することが大切です。
- マスコミの情報には営利目的のバイアスが含まれるため特に注意が必要:メディアは視聴率や広告収入を目的とするため、センセーショナルな表現や極端な意見が取り上げられやすい傾向があります。また、日本のメディアの記事は医学的な理論や背景を理解できない記者により書かれているためあきらかな誤解に基づいた記事がセンセーショナルに取りあげられることが多いです。マスコミ情報については特に注意して報道された内容を鵜呑みにせず、情報の出典や背景を確認することが重要です。
- 過去の事例を調べる:同様のケースで後からリスクが判明した事例がないか確認することも大切です。
- 長期的な研究の進展を待つ:特に新しい治療法や成分については、時間をかけた研究が必要であり、現時点での評価が将来的に変わる可能性があることを理解しておくことが大切です。
- エビデンスの有無に囚われすぎない:エビデンスがあるかどうかだけで判断すると、最新の技術や治療法を適切に評価できない可能性があります。エビデンスが不足している段階でも、理論やメカニズムを理解しながら判断する姿勢が重要です。
まとめ
「医学的エビデンスが無い」からといって、それが安全であるとも、効果がないとも言えません。また、エビデンスが確立されるには時間がかかるため、現時点での研究不足をもって断定的な判断をするのも適切ではありません。医学的エビデンスは時間とともに変化し得るため、科学的な検証が不十分な段階では慎重な判断をすることが大切です。健康に関する情報を見極め、自分で理論的に考える習慣を身につけましょう。












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