なぜ経過観察をする必要があるのか?

02/27/2025

人間ドックの結果レポート等で「肺野に小結節を認めるので経過観察しましょう」と書かれていることがよくあると思います。小結節とは何?なぜ経過観察する必要があるのでしょう?

 

結節とは良悪がまだ判明しない状態の組織の塊

そもそも結節と言う言葉は業界用語なのですが放射線診断上は3センチ以下の何らかの塊を意味します。肺野に認める結節は初期の悪性腫瘍や良性腫瘍のこともあるのですが多くの場合には過去の肺炎の結果、塊に変形した肺組織を見ていることが多いです。これを炎症性肉芽腫とか瘢痕と言います。
 

結節の大きさは2センチを超えてくると悪性腫瘍は悪性腫瘍らしく、良性腫瘍は良性らしく見えてくるのである程度正確に診断ができます。しかし、2センチ以下の小さな結節の場合にはそれぞれの特徴が見えてこないので1度の検査では診断に到達しません。つまり2センチ以下の小結節は診断が困難であると言うことです。人間ドックにおいては、現実に問題となるのはその結節が初期の悪性腫瘍であるかないかと言うことだけであり、数ある良性腫瘍のどれに相当するかとか過去の肺炎の原因は何であったかとかを診断することには実はあまり意味はありません。

 

どうやって良悪を区別するか?

ではどうやって初期の悪性腫瘍を見つけ出すかと言う話になるのですがこれは理屈を考えればわりと簡単です。悪性腫瘍とその他の結節の1番の違いは時間が経てば増大するということです。過去の肉芽腫や瘢痕性変化、良性腫瘍の場合には時間をおいて検査しても数が増えたり減ったりする事はあっても結節のサイズが増大する事はまずありません。放射線診断医は結節のサイズや場所、頻度を考慮してどれぐらいの期間をあけてもう一度検査をすべきか考えます。3ヶ月後に経過観察しましょうとか6ヶ月後に経過観察しましょうとか書いてあるのは放射線診断医がどれぐらい悪性の可能性が高いと考えているのかが反映されていると言うわけです。

 

肺炎にかかった事は無いのになぜ炎症性肉芽腫ができるのかとよく聞かれますが、気づいていないだけで実は人間はわりと頻繁に肺炎にかかっているのだと思います。多くの場合ウイルス性の肺炎は特に症状も出ずに勝手に治るので検査もされず気づかれずに放っておかれているのではないでしょうか。この手の炎症性の肉芽腫は50歳以上の成人の肺野をCTで検査すると9割近くの人に認められます。肺野に小結節が無いことの方がむしろ稀と考えていいと思います。

 

経過観察(再検査)が大事

と言うわけで経過観察とアドバイスされた場合には何もなければ1年後にもう一度同じ検査を受けて病変を比較してもらいましょう。サイズの変化を見ると言うことになるので微妙な変化を見逃さずに見つけるには同じ施設で同じ条件で撮影して比較したほうが有利だと思います。

がん

Posted by 管理人