甲状腺癌の早期発見はどうするか?

02/27/2025

PETを用いたがん検診で最も多く見つかる腫瘍が甲状腺癌です。ではPET検査をしていれば甲状腺がんの早期発見は可能かという事になると少し事情は変わってきます。

 

多くの甲状腺癌はPETでは見えない。

 成人に発見される甲状腺がんは9割が乳頭癌と呼ばれるタイプで比較的悪性度の低いがんになります。5年生存率は90%を超えているので運が悪くなければ命取りになるような癌ではありません。PETで使用するFDGという放射性薬剤は悪性度の高い病変に集積するという特徴があります。一般的にはに癌は当然悪性度が高いわけですからFDGが集積するわけですが甲状腺がんや前立腺癌などの例外的に悪性度の低い癌はFDGが集積しないことが多いのです。

 

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PETで早期発見できない癌をどうやってみつけるか?

 従って甲状腺がんを早期発見するにはPETではなくCTや超音波で甲状腺内に結節を見つけてその結節が良性か悪性かを判断するという作戦になります。超音波検査をして半年なり1年なり時間の経過でどう変わるのかを見れば良性か悪性かの判断は概ね予想できるのですが最終的には針で組織を取り出して(針生検)顕微鏡で確認するという作業が必要になります。

 

甲状腺に結節があると言われると心配になって1年も経過観察できないという人も多いので、超音波の診断が少しでも怪しければいきなり生検することもあるのですがその結果がん細胞が発見されることもよくあることです。画像ではがんを疑うような所見がなくても針生検では取り出した検体の中に1つでも癌細胞があればがんの診断が可能です。従ってどうしても甲状腺がんを早期発見したければ超音波でがんが疑われる前に定期的に甲状腺に針をさして顕微鏡で確認するということになります。

 

針生検も完璧ではない

 私のクリニックでも甲状腺の専門病院と提携して、速やかに生検ができる体制は整えていますが実は私自身はこのような早期発見方法は提唱していません。一つ目の理由は超音波装置の性能にもよるのですが甲状腺の結節は成人の6割~7割に認められその95%以上が良性であることから片っ端から針生検するのは無駄が多いこと。もう一つは針生検では針の中にうまく癌細胞がとれれば陽性とわかりますが、針の中に癌細胞がなくてもたまたま取れなかっただけなのかそもそも癌細胞がなかったのかが判断できないので、超音波で悪性の可能性が高い場合には生検が陰性でも安心できないことです。

 

悪性度の低い甲状腺癌は早期発見しなくてもいい

 私の個人の考えですが、甲状腺癌や前立腺癌など悪性度の低い癌はある程度大きく育って画像で見える大きさになってから診断しても遅くないと考えています。従ってPETで見えないような甲状腺がんは血眼になって甲状腺に針を刺しまくるのではなく、見つかるサイズになるまでほうっておくという作戦が賢いと考えています。FDGを集積しないようなタイプの甲状腺癌はPET/CTのCT検査部分で見つかるわけですが、その場合には超音波で定期的に観察をして超音波診断でいよいよ悪性腫瘍を疑う所見が得られたら初めて針生検するという作戦をお勧めしています。

 

悪性度の高い甲状腺癌はPETで発見可能

乳頭癌でも分化度が少し低く(悪性度が高く)なるとFDGを集積するのでPETで検出が可能となります。また、10%以下と稀ではあるのですが病理の異なる悪性度の高い甲状腺癌もあります。これら悪性度の高い癌はFDGを集積するのでPET/CTで異常集積が見つかればなにはともあれ超音波で検査をし、超音波で怪しければ針生検するという作戦がいいと思います。甲状腺の場合は良性結節にもFDGが集積するので集積自体は悪性度の高い癌というわけではありませんが、結節状の異常集積があった場合には悪性度の高い癌の可能性を考えて次のステップ(まずは超音波検査)に進むべきだと思います。

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