薬の作用機序と副作用:防御反応を抑える薬のリスクとは

02/27/2025

私たちの体には、病原体や異物から身を守るための「防御反応」が備わっています。しかし、病気やアレルギーによる過剰な防御反応が、かえって症状を悪化させることがあります。そのため、一部の薬はこの防御反応を抑えることで症状を和らげる作用を持っています。これらの防御反応を抑える薬は原則として短期間の服用にとどめるべきであるはずが、実際には長期間にわたり連日服用を続けている人が多いことに驚かされることがあります。

少し考えればわかることですが、防御反応を抑制する薬を服用すると、病原体や異物に対する防御が弱まり、病態が悪化することが多い点に注意が必要です。たとえば、免疫抑制作用のある薬を長期間使用すると、感染症にかかりやすくなったり、がんの発生原因になったりすることがあります。解熱剤を服用すると、風邪が悪化するのも少し考えれば当たり前です。また、胃酸を抑える薬を長期に使用すると、胃の防御機能が低下し、逆に感染症のリスクが高まり胃潰瘍や胃がんが発生することもあります。したがって、これらの薬は短期的に症状を抑えるために服用する分には大きな問題にはなりませんが、長期にわたり連日服用すると様々な副作用が懸念されます。

さらに、近年の研究では、多くの薬が認知症の発生リスクに関連していることが示されています。特に、長期的に服用している人の多い胃薬(プロトンポンプ阻害薬)、抗コレステロール薬(スタチン)、降圧薬などは長期間使用されることで、脳の機能低下や認知症のリスクが高まる可能性があると指摘されています。

防御反応を抑える薬の代表的な例として、以下のような薬があります。

1. ステロイド(副腎皮質ステロイド)

ステロイド薬は、強力な抗炎症作用を持ち、喘息やアレルギー疾患、自己免疫疾患などの治療に広く用いられています。これらの薬は免疫系の過剰な働きを抑えることで、炎症や腫れを軽減します。

防御反応の低下による副作用:

  • 免疫抑制作用により、炎症の原因が感染症の場合には悪化しやすくなります。
  • 炎症の原因が感染症以外の場合には、様々な感染症にかかりやすくなります。
  • 免疫機能の低下により、発がんリスクが上昇します。

2. 鎮痛剤・解熱剤(例:アセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリン)

これらの薬は、痛みを和らげるだけでなく、発熱を抑える作用もあります。風邪やインフルエンザの症状緩和、頭痛や関節痛、筋肉痛の治療に用いられます。

防御反応の低下による副作用:

  • 炎症を抑えることで、関節炎や感染症の初期症状がわかりにくくなり、重症化しやすくなる
  • 体温の低下により、免疫システムの働きが鈍り、ウイルスや細菌への抵抗力が低下する

3. 胃薬(例:プロトンポンプ阻害薬(PPI)、H2ブロッカー)

胃酸の分泌を抑え、胃炎や胃潰瘍の治療に使用される薬です。

防御反応の低下による副作用:

  • 胃酸が減少することで、胃内の殺菌作用が弱まり、感染症(腸内細菌の異常増殖や食中毒)のリスクが高まる。胃のピロリ菌感染は胃がんの発生要因として知られていることから特に注意が必要です。
  • 長期使用により、ビタミンB12の吸収が低下し、神経機能の低下や認知症のリスクが高まる

短期的に服用する薬ではありませんが、皆さんがよく服用している高コレステロール血症の薬や降圧剤なども防御反応を抑える薬のため長期の服用には注意が必要です。

まとめ

防御反応を抑える薬は、適切に使えば病気の症状を和らげる治療手段ですが、一方で副作用のリスクも伴います。特に、防御反応が抑えられることで病態が悪化する可能性があるため、長期間の使用が必要な場合は、定期的なチェックを行いながら、医師と相談しつつ慎重に使用することが大切です。重要なのは、薬の服用そのものではなく、長期にわたる連日の服用が問題であるという点を理解し、適切に薬と付き合うことが大切です。