トレーニングだけでは健康は維持できない!
健康を維持するためには、脳と身体の連携を意識した活動が重要です。日常生活の中で脳が状況に応じた指示を出し、それに応じて身体が適切に動くことが健康の定義と言えるかもしれません。しかし、人間の体は常に使っていないと衰えてしまうため、高齢になって何もしていないと筋力や心肺機能、バランス能力、認知機能などが徐々に低下してしまいます。その結果、日常生活において転倒しやすくなったり、思うように体を動かせなくなったりすることが増え、生活の質が低下する可能性があります。これを防ぎ日常生活を維持するためには、あえて日常生活以外の活動を取り入れることが重要です。
多くの人が高齢者の健康維持のためにトレーニングを推奨しますが、その本質を考えるとトレーニングだけでは不十分なことがわかります。なぜなら、トレーニングとは身体の基礎体力を維持することが主な目的であり、脳と身体の連携を鍛えることが主眼ではないからです。筋力や心肺機能を維持するためにトレーニングは必要ですが、それだけでは日常生活の動作をスムーズに行う能力は向上しません。また、俗に脳トレと呼ばれる活動が健康維持にあまり役立たない理由として、日常生活に必要とされる状況判断の要素が含まれていないことが挙げられます。さらに、脳トレでは脳と身体の連携が求められる場面が少ないため、実際の日常生活で必要な能力の向上にはつながりにくいのです。健康を維持するためには、単に脳や筋肉を刺激するだけでなく、脳の動きと身体の動きとを連携させることが不可欠です。
日常生活を快適に送るために本当に重要なのは、脳と身体の連携を鍛えることです。そのためには、トレーニングではなくスポーツを行うことが有効です。スポーツでは、状況に応じて脳が適切に判断し、それに従って身体を協調させて動かすことが求められます。このプロセスが、脳と身体の連携を鍛え、健康維持につながるのです。つまり、健康維持のために行うべきなのは、トレーニングそのものではなくスポーツであり、スポーツのパフォーマンスを維持するためにトレーニングを行うべきなのです。スポーツを通じて脳と身体の協調性を向上させることで、日常生活の質を高め、健康的な生活を維持することができます。
高齢者が日常生活に支障なく健康に過ごす能力を維持するためには、ただ筋トレを行うのではなく、スポーツのような活動を取り入れることが大切です。脳による状況判断と身体の連携が必要な活動を習慣にすることで、より効果的に健康を維持できるでしょう。
参考文献:
Hillman, C. H., Erickson, K. I., & Kramer, A. F. (2008). Be smart, exercise your heart: exercise effects on brain and cognition. Nature Reviews Neuroscience, 9(1), 58-65.
Voelcker-Rehage, C., Godde, B., & Staudinger, U. M. (2011). Cardiovascular and coordination training differentially improve cognitive performance and neural processing in older adults. Frontiers in Human Neuroscience, 5, 26.
Kramer, A. F., & Erickson, K. I. (2007). Effects of physical activity on cognition, well-being, and brain: Human interventions. Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 30(6), 846-858.
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